You select、and you are selected

気になってちょっと驚いたエントリー。

http://blogs.bizmakoto.jp/fukuyuki/entry/17669.html

こうした当たり前すぎる内容がはてブで注目されるのは意外だった。内容を端的に伝える為に色々な条件を省略していると思うのだけど、この2つの消費者層を分けているのは金だけではない。「選んでいる」「選ばれている」ことを自覚しているかどうかだ。そして低価格の物を購入している層に、この自覚を持っていない人が多い。最近ではネットでその傾向が顕著だ。

いわゆる情報強者にありがちなのだが、自分が情報を選んでいると勘違いしている人がいる。例えばアマゾンで自分の部屋に置くラックを選ぶ。Aは5000円、Bは30000円だ。サイズもスペック上の素材も大差は無いように見える。その時に『俺にはAしか買えないな』と感じる人は「選んでいる」人だ。『Bは高いなあ。これじゃ売れないよ。Aで十分!』とポチる人は「選ばれている人]だ。消費者目線では逆に感じるかもしれない。でも、前者は「買えない」と感じた時点で自分の消費意志はBにあり、それを予算と勘案しつつ自分で結果を選んでいる。後者はAとBの価値の差を理解せず、Bの販売会社に切られているのだ。

こうした事は物を売る現場では良くある。物を売る以上、大抵の場合はある程度のターゲットを絞っているが、時折、それを理解せずに来店する方がいる。そして大抵の場合、彼らは情報強者だ。ネットで得た「知識」を元に店や商品を値踏みし、脳内で他と比較してランク分けする。販売側との協調関係を作ることが苦手なタイプが多く、大抵の場合は脳内でランク分け作業が終わるとその日の消費行動は終わりだ。普通なら、そこで販売側は協調関係を築こうと努力するのだが、そうはならない。こうした方は販売店や商品の表層的な部分しか見ていないので、徒労に終わることが多いからだ。ここに時間を費やしてしまうと、自分が大切にしたい顧客にリソースが裂けなくなってしまう。だから、「いかに彼らから切られるか」が大事なのだ。しかし彼らはそうしたことはイメージ出来ない。なぜなら、自分は「選ぶ立場だ」としか考えていないからだ。そして、無いことを証明することが不可能なように、選ばなかった店で得られるはずであったメリットもまた、知ることはできない。結果、彼らは多くの店に切られながら、自分が「選んだ」モノを手に入れていく。

消費というのは購入側だけでは存在しない。販売者と購入者が協調関係を築きながら生み出していくものだ。実際、僕の分野で出会ったネット購入者のほぼ100%がそうした関係を築けていない。やっかみに感じられるのも嫌なので、ここでその結果を書かないが、自分が人生をかけて販売している物がモノでしかなくなった状態を見るのは悲しいことだ。